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⾵の森ALPHA 8 ⼤地の⼒

 

Amorphous(アモルファス)製法による⽞⽶(精⽶歩合100%)を⽤いた⽇本酒

 

私たちが造る⽇本酒は「お⽶」を原料としています。お⽶はイネが⼤地のエネルギーを蓄え、
⼦孫を増やすための種⼦です。
デンプンやタンパク質、油分、ミネラルなど様々なエネルギーが蓄えられています。昭和の
時代に確⽴した吟醸造りでは、⻑期低温発酵によって酵⺟の営みをコントロールする為に
過剰なエネルギーと考えられる⽞⽶の表⽪からおよそ40%以上にも⾄る外側部分を、精
⽶によって取り除き、発酵⼒を弱め、実現できたということが⾔えます。これにより、糖化
と発酵のバランスをとり⻑期低温発酵をさせることで、酵⺟の⽣み出す果実のような⾹り
や、緻密な味わいの酒を造ることが可能になったのです。

 

しかしその⼀⽅で精⽶によって失うものもあったのではないかと考えることもできます。
私達醸造家はお酒を造った時に「その⽶の特性や⼟地の⼒を表現しました」なんていうこと
をよく⼝にします。わたし⾃⾝もそうです。そうすると本質的なお⽶の持つ個性を表現しよ
うとすると、そのお⽶が育てられた⼤地のエレルギーが存分に含まれた⽞⽶でこそ、それを
最⼤限に表現できるのではないかとも考えることができます。
今回の⼤地の⼒では当蔵独⾃の【Amorphous 製法】によって⽞⽶による仕込み(精⽶歩合
100%)を実現することができました。今後 ⾵の森ALPHA 8 ⼤地の⼒ では試⾏錯誤を繰
り返し、⽞⽶を⽤いた酒造りの可能性を追求してまいります。

 

【Amorphous 製法】とは
お⽶が持つ結晶化したデンプンを特殊な加熱処理によって⾮結晶化(Amorphous)したお
⽶を使⽤した醸造法。これによってお⽶の溶解性を⾼め、たんぱく質や油分の分⼦構造を変
質させることで未だない味わいの⽇本酒を造ることが可能になります。奈良県内の企業と
共に取り組みました。

 

【Amorphous 製法】開発のきっかけ
2021 年1 ⽉、奈良県内のビール醸造所、「奈良醸造」の浪岡さんとのコラボレーション企画
がきっかけです。「奈良醸造」さんではコラボ企画で私たち油⻑酒造の仕込⽔(⾦剛葛城⼭
系の深層地下⽔超硬⽔ 硬度250mg/L 前後)と⾵の森の7 号酵⺟でビールを造られまし
た。そのビールの味わいは⾵の森とはまた違った、でもどこか似ている豊かな果実味と、と
ろみを感じさせる魅⼒的なビールでした。ビールの原料のモルトはあらかじめ⻨を加熱焙
煎してつくったものです。この技術を応⽤して、⽞⽶をモルトのように加熱焙煎して⽇本酒
を造ってみれば⾯⽩い⽇本酒ができるのではないかと考えました。

 

【⾵の森ALPHA 8 ⼤地の⼒ ver.1 ⽞⽶使⽤⽐率60%】
今回初めて【Amorphous 製法】を⽤いた⽇本酒造りにチャレンジしました。
⽞⽶を⽤いた麹造りではしっかり⽞⽶に⽔分を含んだ状態でお⽶を蒸して麹菌が⼗分に繁
殖するように⼯夫をしました。出来上がった⽞⽶麹は⽞⽶特有のお⽶らしい⾹りと、深い味
わいを感じる初めての味わいでした。また、その麹から⽣み出されたタンパク質分解酵素や
糖化酵素の量は通常の麹から出来上がってくる量の約2倍。⽞⽶を仕込むとお⽶が解けに
くいことが想像されますので、これは期待のできる数値でした。
次に今回は掛⽶に⽤いるお⽶の約半分を【Amorphous 製法】による加熱処理した⽞⽶、そ
の半分を精⽶歩合80%の⽩⽶を⽤いました。加熱焙煎した⽞⽶は独特の⾹ばしい⾵味と⾒
た⽬で、果たしてこれで⾵の森に仕上げることが出来るのかと不安がよぎりました。
【Amorphous 製法】でも通常の⾵の森と同様に、独⾃設計の発酵タンクで、⽇々の分析と
⾹り味の変化をとらえ、緻密に発酵制御を進めました。当初は発酵⼒が強すぎて醪⽇数が
32 ⽇以上は難しいのではないかと危惧されましたが5度以下の超低温で発酵を進め、無事
お酒を搾ることができました。

 

搾る前は初めての⽞⽶を⽤いた醸造の為、ビール並みの苦さと突出した酸味を想像してい
たのですが、いい意味で裏切られます。⾊は想像通りのシャンパンゴールド、そして巨峰や
熟れたリンゴ、フレッシュな⼈参のような⾹りを感じます。ごく微量の炭酸ガスと穏やかな
有機酸で⾮常にスムーズに⼝の中に馴染みます。その味わいは苦さが通常の⾵の森よりは
しっかりしていますが、許容できる適度で、酸味渋みエグ味といった要素も突出してきませ
ん。まるでとろりとしたお出汁の中にそれらの数ある複雑みを閉じ込めてしまったかのよ
うな印象です。⽢みの要素と、棘のない複雑味が絡まり合い、液体の質感を⾼めています。
⼝に含んだ直後は独特のお⽶由来であろう穀物らしい⾹りやホワイトビールの後⼝のよう
な酵⺟的要素もみられますが、飲み進めると⼝中は快適です。今までの⽇本酒にはない、独
特の質感と⾵味を実現することができました。

 

今回の⾵の森ALPHA 8 ⼤地の⼒ ver.1 はまだまだ未完成。次回のチャレンジでは今回投⼊
した⽞⽶の⽐率を80%程度にまで上げて、⽞⽶仕込みの技術確⽴と⼀層⼤地のエネルギ
ー溢れる⽇本酒を⽬指してまいります。
従来の⽞⽶を⽤いた酒とは全く⽅向性、考え⽅の異なる、⾵の森が提案する⽞⽶酒が出来上
がりました。

 

油⻑酒造株式会社 代表取締役 ⼭本⻑兵衛

 

 

⾵の森 ALPHA 8 ⼤地の⼒ 500ml 希望⼩売価格1650 円(税込)

10 ⽉8⽇発売
掛⽶ 奈良県産秋津穂使⽤ 麹⽶ コシヒカリ使⽤ 精⽶歩合100%
(麹⽶:精⽶歩合100% 掛⽶:精⽶歩合100%と精⽶歩合80%を半量ずつ使⽤)